① 案件サマリー
大手製造業グループの ERP 刷新。 参画時点で要件定義が 1 年遅延、 PM/PMO 機能不全、 複数社間の断絶で破綻寸前だった。
停滞は「遅延」 ではない
単なる遅れでなく、 経営・管理・現場間の意思疎通と信頼が完全に崩壊した構造的危機。 工程表では見えない。
Insight: 制度 (ルール) は存在していたが、 実質的な「整合 (Coherence)」 が消失していた。
大山の見立て
個人の「頑張り」 ではなく、 「意思決定の構造設計」による抜本的再構築。 まず 3 層 (経営/管理/現場) のどこで何が止まっているかを分解した。
② 3 層断絶の真因
「どの層で止まっているか」 を分解。 観測される症状でなく、 本当の原因と打ち手を 3 層で整理する。
| 層 | 観測される症状 | 本当の原因 | 打ち手 |
|---|---|---|---|
| 経営層 | 判断が遅い / 予算維持と ROI の死守に焦り | 投資判断材料が不足 (撤退条件・リスク・3 シナリオ未整理) | 2 択資料 + ROI + リスク整理を 1 枚に統合 |
| 管理層 (PMO) | 会議が多い / プロセス順守に固執 | コンプライアンス重視で現場のリアルな進捗と乖離 | 会議体・責任線・意思決定ラインを再設計 |
| 現場層 | 作業が進まない / 手戻り反復 | 曖昧な要件定義による実行負荷増大と疲弊 | 残工程を「3 ヶ月で完了」 へ再計画・工程化 |
1 日 3 件以上の会議を並列処理
バッティングしていた会議を並列で回し、 1 回の会議で課題抽出 → 整理 → 解決 → 合意形成まで到達する即応体制を構築した。
③ 構造的介入 — Week 1
着任 1 週間での介入。 経営層・上位 PM・現場全層からの指名により統括 PM (CFO 直結承認) へ抜擢された。
Day 1-7: 構造の再設計
1 日 3 件以上のバッティング会議を並列処理。 初見で課題抽出から合意形成まで即応。
経営層への提示
予算を増やさず期間のみ 1 年延伸する再計画を提示。 ステークホルダーの論点・利害を調整し正式承認を獲得。
デリバリー統治
PM/PMO の責任線と意思決定ラインを再構築。 停止していた要件定義を「残り 3 ヶ月で完了できる工程」 へ転換。
④ 火消しで終わらせず「燃えない構造」 へ
一過性の火消しでなく、 私が現場を離れても全体構造が破綻しない「燃えない構造」 を作り、 後任 PM へ引き継いだ。
仕組み化した統治
RACI + 課題管理台帳 + 週次品質ゲート。 炎上時の「一次切り分け → エスカレ基準 → 立て直し順序」 を事前定義。
引継ぎ重視
統括機能を仕組み化し、 後任 PM が回せる状態で引き渡した。 「自分が抜けても回る」 を最優先。
⑤ 結果
予算を増やさず期間のみ 1 年延伸する再計画を経営層に承認いただき、 プロジェクト中止・再構築に伴う約 100 億規模の追加損失を完全回避し、 継続を確定させた。